初心者のための内部統制構築の教科書 ないぶっく » 内部統制の専門家に聞く よくあるQ&A

内部統制の専門家に聞くよくあるQ&A

このサイトはコントロールソリューションズ株式会社をスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。
代表 佐々野未知
Sponsored by
代表取締役社長佐々野未知

経営コンサルタントとして、内部統制構築支援やIFRSコンバージョン支援に携わるとともに、各種実務セミナー講師としても活躍中。

目次 INDEX

Q 業務プロセスについて、3点セットは必ず作成する必要がありますか。

A 3点セットとは、フローチャート、業務記述書、リスク・コントロール・マトリックス(RCM)の3点。

これらは、法律等で絶対必要ときまっているものではありませんが、3つを作成するのが一般的で最も効率的な方法です。

フローチャートは、主に四角と矢印を使用して業務プロセス全体の流れを示すものです。

業務記述書は、一つ一つの業務の詳細(誰が、何を、どうしているのか)を詳しく文章で説明する資料です。

リスク・コントロール・マトリックス(RCM)とは、フローチャートと業務記述書で明らかになった会社の業務プロセスを分析し、業務プロセスに内在するリスクと実施しているコントロールをマトリックスの形式で整理した資料です。

会社によっては、フローチャートと業務記述書を合体しているケースもあります。

Q ウォークスルーとはどのような手続きですか。

A 実際の取引から1件をサンプルとして選び、業務プロセスの流れにそって、取引関連証票(注文書、出荷伝票など)を確認していく手続きです。

入手した取引関連証憑について、日付や金額の整合性、統制の実施者、実施しているときの確認観点、統制実施の痕跡等を検証します。

実施する目的は、以下2つあります。

(1)3点セットとして作成した文書が、正しく業務プロセスを記述しているかを確かめる、(2)業務プロセス内の内部統制が有効かどうかを確認する(リスクを削減できているか)

Q 業務プロセス統制の運用状況を評価する場合、サンプルの件数はどうやって決めればよいですか。全て25件実施する必要がありますか。

A 運用テストのサンプル数は、統制の実施頻度に応じて決定します。

経済産業省から公表されている「システム管理基準(追補版)付録図表5-1 サンプル件数の例」に、統計学をベースとしたサンプル数の考え方が示されています。

具体的には、統制の頻度が年次の場合は、サンプル1件、四半期は2件、月次は2件、週次は5件、日次は25件、1日につき多数は25件となります。

頻度に当てはまらない場合、年間の統制の実施概数を考慮してサンプル数を決定します。

Q IT業務処理統制は毎年評価する必要がありますか。

A ITを利用して自動化された内部統制は、一度設定されると、変更やエラーが発生しない限り一貫して機能する性質があるため、以下①~④の条件を満たす場合、複数年に1度の評価が認められています。

  1. 過年度に内部統制の不備が発見されずに有効に運用されている
  2. 評価された時点から内部統制が変更されていない
  3. 障害・エラー等の不具合が発生していない
  4. 関連するIT全般統制が有効に機能していると判断できる

しかし、企業のIT利用度やIT依存度、ITに関わる各種リスクは年々高まっているため、上記判断は慎重に実施する必要があり、毎年評価することが望ましいといえます。

評価する場合のサンプル数は、整備・運用をあわせて1件でかまいません。

Q 内部統制の不備について、監査法人から依頼された改善項目については、全て対応しなければならないでしょうか。

A 監査法人から依頼された改善項目については、かならず対応が必要ですが、言われたままその通りに実施する必要はありません。

監査法人の依頼の趣旨や不備に伴う財務報告リスクを理解したうえで、会社として実現可能な、もしくは最も有効なやり方で導入しなければなりません。

監査法人からの依頼に対して、表面的な言葉だけをとらえてそのまま対応すると、一時的には解決したようにみえて、「絵にかいた餅」の形式的な内部統制になってしまう危険性があります。

代表 佐々野未知
メディア監修
しています!
Sponsored by
代表佐々野未知

上智大学経済学部卒業。大原簿記学校講師、青山監査法人(当時)勤務を経て、1998年KPMGニューヨーク事務所に入社。
2002年以降は、KPMG東京事務所(現あずさ監査法人)にて外資系企業の法定監査、デューデリジェンス、SOX法対応支援業務を担当する。
現在は、経営コンサルタントとして、内部統制構築支援やIFRSコンバージョン支援に携わるとともに、各種実務セミナー講師としても活躍中。
著書『フローチャート式ですぐに使える内部統制の入門と実践』他。

セミナー情報

コントロールソリューションズでは、内部統制に関わるセミナーを随時開催しています。佐々野氏のセミナーは分かりやすいと好評のため、「すぐに相談までは進めない」という方はセミナーでお話を聞いてみてはいかがでしょうか?

10/1~10/31配信
PRONEXUS SUPPORT
概要
上場準備会社のための内部統制構築の基礎と実務

上場準備企業にとって、形式にとどまらない実効性ある内部統制体制の構築は不可欠です。本講座では、限られた期間・人員での構築方法から、評価・文書化のポイント、他社の事例や実務上の留意点まで、上場を見据えた実践的なアプローチをわかりやすく解説します。

セミナーをもっと見る
10/1~11/11配信
みずほセミナー
概要
2日間で学ぶ『内部統制』の基本と実務

J-SOX対応が求められる中、内部統制の新任担当者や知識を深めたい方に向けて、本講座では制度の背景から全社統制・業務統制の整備と評価の基本、進め方を2日間で解説。会計基準や非財務情報への対応など最新動向も交え、実務に直結する内容を学べます。

10/1~11/11配信
みずほセミナー
概要
最新「内部統制の有効性評価」の実務

J-SOX対応で求められる評価の効率化や実践的な運用スキルに応える実務講座です。最新の評価基準に基づき、全社統制から業務別統制・決算統制までの整備・運用評価のポイントを整理。不備事例や改訂対応、他社の動向も交え、具体的な進め方を解説します。

10/1~11/11配信
みずほセミナー
概要
内部監査・内部統制における「生成AI」活用の最前線と実践テクニック

生成AIの活用が進む中、内部監査・内部統制の現場でもリスクの兆候把握や新たな視点の獲得といった可能性が広がっています。本セミナーでは、基本知識から具体的な活用例、プロンプト例、留意点までを実務目線で解説。安全かつ効果的な活用方法を学べます。

10/1~11/11配信
みずほセミナー
概要
不正を予防・早期発見する社内体制の構築ポイント

企業不祥事が後を絶たない中、不正リスクへの対応強化が求められています。本セミナーでは、不正の背景や実例を踏まえた原因分析から、兆候の早期発見や予防に必要な仕組み・チェックポイントを解説。内部監査・不正調査を行う際の留意点もわかりやすく学べます。

11/4~12/8配信
みずほセミナー
概要
内部監査・内部統制における「生成AI」活用の最前線と実践テクニック

生成AIの活用が進む中、内部監査・内部統制の現場でも、リスクの早期発見や新たな視点の獲得といった効果が期待されています。本セミナーでは、生成AIの基礎から活用例、注意点、実践的なプロンプトまでを解説。安全かつ効果的な導入に向けた知識が得られます。

11/4~12/8配信
みずほセミナー
概要
最新「内部統制の有効性評価」の実務

J-SOX対応において、評価作業の効率化や実務スキルの習得、監査による提言力の強化は重要なテーマです。本講座では、最新の評価基準に基づき、全社統制から業務・決算統制までの整備・運用評価の実践ポイントを、事例や制度改訂の動向を交えてわかりやすく解説します。

11/4~12/8配信
みずほセミナー
概要
不正を予防・早期発見する社内体制の構築ポイント

企業不祥事が相次ぐ中、不正リスクへの対応強化が求められています。本セミナーでは、不正の背景や実例をもとに原因を分析し、早期発見・予防に向けた社内体制やチェックポイントを解説。内部監査や不正調査を行う際の実務上の留意点も、具体的に学べます。

11/6配信
SMBCコンサルティング
概要
内部統制のしくみと整備・評価の基本

会計不正の増加を受け、内部統制の評価基準が改訂され、リスク重視の実効的な評価が求められています。本講座では、J-SOX制度の要点や構築・評価の基本作業、効率化のポイントを解説。リモート対応や新基準への実務対応も盛り込み、わかりやすく学べます。

12/1~1/13配信
みずほセミナー
概要
内部監査・内部統制における「生成AI」活用の最前線と実践テクニック

生成AIの進展により、内部監査・内部統制分野でも新たな活用の可能性が広がっています。本セミナーでは、生成AIの基礎知識から活用例、プロンプトの工夫、留意すべきリスクまでを実務の視点で解説。安全かつ効果的な活用方法を体系的に学べます。

1/28配信
SMBCコンサルティング
概要
内部監査・内部統制業務における生成AI活用と留意点(来場セミナー)

生成AIの活用が広がる中、内部監査・統制業務でも新たな活用が現実味を帯びています。本セミナーでは、生成AIの基礎知識から、具体的な活用シナリオやプロンプト例、導入時の注意点までを実務目線で解説。国内外の事例も交え、安全な活用方法を学べます。

1/28配信
SMBCコンサルティング
概要
内部監査・内部統制業務における生成AI活用と留意点(オンラインセミナー)

生成AIの導入が進む中、内部監査・統制業務でもその活用が現実味を帯びています。本セミナーでは、生成AIの基礎知識から実務での活用シナリオ、導入時の注意点、すぐに使えるプロンプト例までを具体的に解説。最新事例も交え、安全な利活用を実践的に学べます。