決算財務報告プロセス統制の構築と評価

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代表 佐々野未知
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代表取締役社長佐々野未知

経営コンサルタントとして、内部統制構築支援やIFRSコンバージョン支援に携わるとともに、各種実務セミナー講師としても活躍中。

目次 INDEX

決算財務報告プロセス統制とは?どんなものがあるか?

決算財務報告プロセス統制とは、主に経理部門が担当する内部統制であり、会社の単体および連結の決算手続き、有価証券報告書の作成、投資家等の利害関係者への報告(財務報告)といった一連の手続きにおける内部統制です。

英語ではFinancial Closing and Reporting Processと呼ばれ、省略してFCRPと表記されることがあります。

例えば、経理規程の整備、決算体制の構築、四半期や年次の決算作業で経理部が実施するダブルチェックや残高照合が該当します。

決算財務報告プロセスは、会社全体の決算や有価証券報告書の信頼性を担保するプロセスであることから、J-SOX上「全社的」と位置づけられており、決算の最後の「砦」として重要な役割を果たします。

決算財務報告プロセス統制の文書化

決算財務報告プロセスを文書化するにあたっては、必要な評価項目を、決算準備、単体決算、連結決算、開示など決算財務報告プロセスの主要なフェーズごとに準備し、それにそって会社の内部統制を整理・文書化します。

全社的な内部統制の場合には、内部統制評価の実施基準に42の評価項目の例示が記載されていますが、決算財務報告プロセスの場合、そのような例示はありませんので、コンサルタントや監査法人と相談して評価項目を決定します。

評価項目と会社が実施する内部統制は、通常エクセルなどにまとめられ、「決算財務報告チェックリスト」と呼ばれます。

必要項目と統制の例

例えば以下のような評価項目に対する会社の内部統制を確認することになります。

  • 決算体制の確立:スケジュールや役割分担の明確化、決算処理に必要な情報の定義、情報収集経路の明確化
  • 適切な会計方針・処理の選択適用:決算方針・マニュアルの整備、外部専門情報の収集、会計方針変更に対する承認
  • 決算修正仕訳の網羅性確認: 仕訳の網羅性を確認する手続き
  • 財務諸表の分析と増減調査(前期比較、予算比較、趨勢分析、KPI分析等)
  • 財務諸表の最終承認

決算財務報告プロセス統制の評価

決算財務報告プロセス統制の評価は、全社的な内部統制の評価とほぼ同様です。

すなわち、チェックリストに整理・記載した自社の内部統制について、関係者への質問や規程等の閲覧、サンプル取引資料の検査を実施することで、整備と運用の状況を確認して、記録します。

整備状況の評価では、主に関係者への質問もしくは規程内容の確認を通じて、方針や制度などが適切に整備されていることを確認し、運用状況の評価で実際に規定通りの運用が行われていることを確認するために、期中の取引資料などを確認します。

決算財務報告プロセス統制の評価における特徴点

決算財務報告プロセス統制の場合、全社的な内部統制と異なり、評価にあたって、経理や会計基準等に対する専門的知識が必要となります。

このため、内部監査室単独ではなく、経理部門による自己点検を取り入れて評価を実施する会社が多いです。

また、決算財務報告プロセスの場合、月次や四半期、年次で実施される統制が中心となるため、業務プロセスと比較するとサンプル数が少なく、1~2件となることが多くなります。

さらに、決算財務報告プロセス統制については、進行期において適切な決算・財務報告プロセスが確保されるよう、仮に不備があれば早期に発見・是正されるべきであることから、前年度の運用状況をベースに、早期に実施することが推奨されています。

前年度の運用状況を評価する場合には、期末日までに内部統制に関する重要な変更がないかを確認し、重要な変更がある場合には追加手続が必要となります。

決算財務報告プロセス統制のよくある不備

決算財務報告プロセス統制の構築は、上場準備会社においては肝となる作業です。

なぜなら、非上場会社では求められない会計基準を厳密に適用して、投資家等への開示資料を作成することは、上場準備の中核となるからです。

例えば、決算書の全勘定科目の残高明細の明確化、外部証憑の保存体制構築、実地棚卸の体制構築、原価計算制度の導入、など、上場にあたって対応しなければならない課題・不備は、ショートレビューや証券会社の審査を通じても洗い出されるので、順次優先順位に留意して順次構築を進めましょう。

佐々野未知氏より
決算財務報告プロセス統制を構築するうえでの注意点

決算財務報告プロセス統制の構築は、上場にあたっての肝となる非常に重要なものですから、対応する事項や作業ボリュームは非常に大きくなります。

構築をスムーズに進めるためには、上場の経験がある、もしくは上場会社の経理部に勤務していた人材を採用することが不可欠と考えられます。

そのうえで、外部コンサルタントの活用も合わせて考えるのが賢明です。

なぜならコンサルタントは、1社だけでなく複数可の会社の上場を支援してきており、かつ複数の監査法人や証券会社との交渉を経験しているからです。

内部、外部の力を最大限活用しながら、上場会社の決算体制を構築していってください。

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代表 佐々野未知
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代表佐々野未知

上智大学経済学部卒業。大原簿記学校講師、青山監査法人(当時)勤務を経て、1998年KPMGニューヨーク事務所に入社。
2002年以降は、KPMG東京事務所(現あずさ監査法人)にて外資系企業の法定監査、デューデリジェンス、SOX法対応支援業務を担当する。
現在は、経営コンサルタントとして、内部統制構築支援やIFRSコンバージョン支援に携わるとともに、各種実務セミナー講師としても活躍中。
著書『フローチャート式ですぐに使える内部統制の入門と実践』他。

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