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内部監査による不正リスク対応のポイント

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企業経営の健全性やコンプライアンスを確保するうえで、不正リスクへの対策は不可欠です。

この記事では、自社の内部統制構築や内部監査を担当する方向けに、不正リスクとは何か、その種類や発生要因、内部監査による不正リスク対応の流れ、内部監査以外で講じるべき不正抑止・予防策までをわかりやすく解説します。

不正リスクの種類

資産の不正流用

会社の現金や在庫など、資産を横領・着服する不正です。典型的には、従業員がレジの売上金や在庫品を盗む、経費を水増し請求するといったケースが該当します。

不正な財務報告

いわゆる「粉飾決算」に代表される、財務報告に関する不正行為です。経営者や管理職が業績を良く見せる目的で売上を架空計上したり費用を圧縮したりするケースや、株主や金融機関を欺くために財務諸表上重大な虚偽記載を行うケースなどが含まれます。

汚職・腐敗行為

贈収賄や利益相反取引など、職務上の地位・権限を悪用して私的利益を図る不正行為です。例えば、業者選定においてキックバック目的で特定業者に便宜を図る、公務員が金銭を受け取り許認可権を濫用するといったケースがこれに当たります。

不正リスクの発生要因

動機・プレッシャー

不正を働く動機となる誘因や追い詰められた状況です。個人的な借金や浪費癖、家族の医療費負担などの金銭的プレッシャー、あるいは「今期の目標を達成しなければ」という過度な業績ノルマの重圧など、経済的・精神的な切迫感が該当します。

機会

不正をやろうと思えばできてしまう隙や環境のことです。典型例としては、「社内ルールや監督が緩い」「一人の社員に権限が集中していてチェックがない」「在庫や現金を管理する仕組みがずさん」といった内部統制上の不備が挙げられます。

正当化

不正行為に及ぶ本人の心の中の言い訳です。たとえば「自分は会社に貢献しているのだから利益の一部をもらっても当然だ」「今回は特別で本当は悪いことではない」といった具合に、自らの行為を正当化する論理のことを指します。

正当化の材料は些細な不満や周囲への不信感など様々ですが、本人が罪悪感を和らげるために編み出す理屈という点で共通しています。

内部監査による不正リスク対応の流れ

1.リスク評価と監査計画の策定

組織内のどこに不正リスクが潜んでいるかを検討し、リスク評価にもとづいて年間の監査計画を立案します。

具体的には、不正が起こり得る業務領域や取引(現金取扱部署や経費精算プロセス、権限が集中するシステム管理部門など)を洗い出し、リスクの大きさに応じて優先的に監査対象に組み込みます。

2.監査手続の実施(統制の評価)

計画に沿って監査を実施する段階では、該当業務の実態把握やヒアリングを通じて内部統制の設計状況を確認します。

不正リスクに対する統制(たとえば承認フローやアクセス権限管理、在庫管理の二重チェックなど)が適切に整備され機能しているか、制度と運用の両面から検証します。

3.不正兆候発見時の対応

もし不正の疑いを示す取引や証拠が見つかった場合、内部監査人はただちに適切な対応を取ります。

事実関係を詳しく調査し、必要に応じて関係者への追加ヒアリングや詳細なデータ追跡を実施。経営者や役員の関与が疑われる場合などは、監査部門だけで抱え込まず速やかに監査役やコンプライアンス部門と連携し、第三者調査委員会の設置や専門の不正調査チームへの委託など適切な措置を検討します。

4.報告・改善提案・フォローアップ

監査手続が完了したら、内部監査部門は監査報告書を取りまとめて経営トップや取締役会(監査役・監査委員会)に結果を報告します。

発見された潜在的な問題については、「〇〇部署における職務分掌を見直し、承認権限の一極集中を是正する」「在庫管理システムにログ監視機能を導入し、不正な持ち出しが行われた際にはアラートが上がるようにする」など、具体的な改善策の提案を行います。

また、内部監査は提言しっぱなしにせず、一定期間後にフォローアップ監査を実施して改善措置の履行状況を確認することが重要です。

内部監査以外の不正リスク抑止・予防施策

内部通報制度(ホットライン)の整備

不正の早期発見には、社員や取引先からの「通報(ホットライン)」が最も有効です。ACFE(公認不正検査士協会)の調査によれば、不正発覚のきっかけとしては内部通報がトップであり、内部監査よりも割合が高いと報告されています。

実際に不正が起きてしまった場合も、通報制度が機能していれば早期に発見・対処でき、被害拡大を防ぐことが可能です。

企業倫理の醸成

社内に高い倫理観や誠実さを重んじる企業文化を根付かせることは、不正抑止の土台となります。

具体的には、経営理念や行動規範で「正直であること」「法令や社内規則を遵守すること」の大切さを繰り返し訴え、全従業員にコンプライアンス研修を定期実施するなどの取り組みが有効です。

内部統制の構築

内部統制は、不正の「機会」を減らす最前線の防波堤です。

例えば、一人に重要業務を完結させない「職務分掌」、複数人のチェックを経なければ支出できない「承認ルートの設定」、不要な人が機密データに触れられない「アクセス権限の制御」などは、不正を物理的・制度的に難しくします。

内部統制の強化によって犯行をやりにくくし、さらに監視を強めて「やれば見つかる」状況を作り出すことが効果的です。

すべての企業・組織に不正リスクはある

不正リスクは特定の業種や企業形態に限ったものではなく、上場・非上場を問わず民間企業、非営利団体、政府機関、金融機関から公共事業に至るまで、あらゆる組織で起こり得ます。どのような企業であっても「自社では不正は起きない」と考えるのは禁物。平時から不正リスクに備えた内部統制を整備しておく必要があります。

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代表 佐々野未知
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代表佐々野未知

上智大学経済学部卒業。大原簿記学校講師、青山監査法人(当時)勤務を経て、1998年KPMGニューヨーク事務所に入社。
2002年以降は、KPMG東京事務所(現あずさ監査法人)にて外資系企業の法定監査、デューデリジェンス、SOX法対応支援業務を担当する。
現在は、経営コンサルタントとして、内部統制構築支援やIFRSコンバージョン支援に携わるとともに、各種実務セミナー講師としても活躍中。
著書『フローチャート式ですぐに使える内部統制の入門と実践』他。

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